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今回出現したリザード級は、どれも緑色の体表を持った“グリーン・リザード”の類であるようだった。リザード級の中で最もよく見かけるモンスターである。毒を持っていることはないし攻撃力もそこまで高いわけではないが、集団で出現して連携を取ってくるのが要注意なモンスターだ。
視界の隅、デンの機体がグリーン・リザードの体を拳で粉砕するのが見えた。銃で遠くから撃つより接近戦が大好き、な彼らしい動きである。
でもってあの様子、ケイシーがサポートに入るのも織り込み済みだろう。レバーを回し、彼の機体ごしに左から迫っていたもう一体を狙撃した。
「はい、ピンポイント・ショット」
『どうもー』
「あんま人任せな戦い方をするな。失敗したら俺達がペナルティだからな」
『わかってますって。本陣に到達されたら全員の負けだしな。負けたらオレらもプリン取り上げられるかも』
「……地味に嫌だなソレ」
でもって、自分達がリザード級を早々に片付けることはリーダーの読み通りだったらしい。
何も言わずに、真っ先にシュラの機体がドラゴン級に突っ込んでいく。
――相変わらずでかいな、ドラゴン級は。たまに小さいのもいるけど。
ドラゴンと名のつくモンスターは、モンスターの中でも強敵として知られている。
ごつごつとした黒い体は、全長十五メートルはあると思われた。自分達の機体の体長がどれも五メートルから十メートル程度なので(あまり大きすぎると小回りがきかなくて不便だからだ)傍に寄ると大きく見上げる形になる。
当たり前だが、ここまで巨大な相手だと倒すのはそう楽ではない。ハーケンを突き刺してワイヤーをからめとり、一気に巨体を登っていくシュラの機体。
ドラゴンが気付いて振り落とそうとする時にはもう遅い。その首筋に、シュラの愛機が持つ大剣が深々と突き刺さっている。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
ドラゴンの断末魔が、びりびりと鼓膜を震わした。巨体がもがき苦しんだことで、地面がぐらぐらと揺れることになる。倒されないように機体姿勢を低くして振動に耐えなければいけない。
――ドラゴン級を実質一撃とは。……さすがはシュラ。
自分達の手助けは全然要らなかったな。なんてことを思いながら、ケイシーは倒れていく黒いドラゴンを見守った。ビー!とブザーが鳴る。ミッションコンプリート、の文字が表示された。
『シミュレーション終了。評価を提示します』
「はい、お疲れ」
アナウンスを聞きながら、ふう、とケイシーは息を吐いた。
さてさて、ナンシー班は無事、プリンを死守することはできたのだろうか。
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