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<23・窮鼠猫を嚙む。>
今は誰も使っていない倉庫。部屋の前に立ち、ケイシーはそっと目を閉じた。
全てを思い出した今、当たり前のように聞こえてくるものがある。それはたくさんの、モンスターたちの声。望まぬ子どもを産まされた女たちと、産まれながらにしてモンスターに変えられた子供達の声。不思議なことに、モンスターとなってしまった子供達は魂を宿しており、意思があったということらしい。
伝わってくる。皆が訴えかけてきている。何故自分達ばかりがこんな地獄を味遭わなければいけないのか、何故人間達はのうのうと自分達に犠牲を強いるのか。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
『痛い、痛い、痛い、痛い、痛い!』
『あいつらまだ、あたし達のような犠牲者を増やして!ふざけるな、ふざけるな!』
『なんでなの?なんで、バケモノとして殺されないといけないの?なんでこんな姿にされたの?なんでなんで?』
『古代人を滅ぼした時と同じ!我らが父と同じ!奴らは、自分達さえ良ければそれ以外はどうでもいい!』
『いつもそう!好き勝手に盗んで、殺して、犯して、踏みにじって、潰して、壊して!何もかも何もかも何もかも何もかも!』
『許せない許せない許せない許せない許せない許せない』
『殺す!』
『よりにもよって同胞殺しをさせる!何もしらない子らに!ありえない!』
『何故にこんな無意味な戦いをしなければならないの!?』
『ああ、奴らに果たして、生きている価値などあるものか!』
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
『堕ちろ、地獄に落ちろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
恨み、憎しみ、怒り、呪い。
それらの感情を抑えきれず、モンスターたちは人間を襲う。街には罪もない人間もいるとわかっていても、止めることができない。自分達と同じ犠牲者を出し続ける、軍や政府の者達がどうしても許せない。彼らを殺して、これ以上の被害を防がなければいけない。そうでもしなければ、自分達の境遇も価値も、何一つ見いだせなくなってしまうから。
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