<24・掉尾の勇を奮う。>

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 それでも古代人に無理やり言うことを聞かせ、魔法の知識を引き出すことができたのは――ひとえに目覚めた古代人が、満足に体も動かせず、魔法も使えない状態になっていたからこそ。いくら奴らの体が大きくても、拷問されれば痛みも感じるし悲鳴も上げる。そうなればそいつから無理やり知識を吐かせることも、生殖用の精液や血液を採取することもけして難しくなかったというわけだ。  今も古代人は特殊な溶液に全裸で浸かった状態で、この首都の地下に封印されている。  顔を見るたびに“殺してくれ”と宣ってくるのが少しうざったかったが、まだまだ利用価値のある検体だ。死んでもらうわけにはいかない。 ――まあ、我々新人類にはほぼ魔力がないわけだからな。……科学の力で補強したり、古代人から取り出した魔力を使ってはいるが……完全に記憶を封印することはできなかったということか。  何にせよ、今のうちに対策を練らないといけない。  まだ、反乱が起きているのは北の国のエンジェル隊のみ。南の国の部隊は、悪夢を見る者がちらほらいたものの、数名を処分しただけで済んでいる。まだ本格的に記憶を取り戻した者はほとんどいないとみていいだろう。  奴らが使い物にならなくなる前に、徹底的に働かせなければ。  “次の世代”はどんどん産み出されているとはいえ、選ばれし子供を作り出すのも、エンジェルの機体を作るのもコストと時間がかかるのは間違いないことなのだから。 「北の国から、支援要請が来ています。どうしますか」 「言うまでもない。ここで借りを作っておいて損はないし……このまま南下されて、我々の領土まで攻め入られてはたまらんからな」  北の反乱軍が、北側の国でのみ暴れてくれているうちに始末をつけなければ。それに、ここで恩を売っておけば、万が一モンスターがいなくなった後も交渉しやすくなるのは間違いない。クロワはにやりと笑って告げた。 「というわけで、儂は我が国の部隊を友軍として送り出して……今のうちに反乱の目を摘んでおくべきと思いますが、いかがか?」  我が国の部隊にも、思い知らせておく必要があるだろう。  国に、世界に逆らえばどのような末路が待っているのかということを。 「平和を乱す輩を徹底排除することこそ、まさしく正義ですからなあ」
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