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クズに札束
──金がない。ああ、金がない。金がない。
…金欠すぎて思わず一句詠んでしまった。
「(…金がない)」
一人暮らしは何かと金がかかる。家賃、光熱費、食費に煙草、酒、ギャンブル。後半は人によって必ずしも必要とは限らないが俺にとっては生活必需品。異論は認めない。
金がなくなれば、女の家に入り浸る。
これで大抵のことは解決しちゃう。飯は勝手に出てくるし、ついでに性欲なんかも満たされる。
ただひとつ問題なのは女の機嫌には限りがあるということ。働かない家事もしないで飯を食いやることやってたら何日もしないうちに家を追い出されてしまう。それが今現在。
そうなってしまえばいよいよ俺は実家に戻る。戻るといっても一人暮らしの家から徒歩20分くらい。うーん、歩くには地味に遠い。
「柊、そろそろバイトの時間でしょうが。早く準備しな、初出勤遅れるよ」
ソファーでゴロゴロと寛ぐ俺を横目に母さんが言った。ついでにパシンと洗濯物で頭を叩かれる。虐待反対。
「バイトねえ」
時給2500円。個人契約の家庭教師。
そのへんのコンビニで働くよりずっといい。しかも日払い。数時間後には煙草が4箱買える。
こんな割の良いバイトはないが、なんせ相手は隣に住む高校2年の女の子。
これがまた、ネックだった。
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