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1 樹
「赤沢。今日ひま?」
「暇じゃない。なに?」
「ハロパ合コン。人数足りなくなっちまって」
「俺行かない」
「なんでだよ。そんなパリピみたいな髪してるくせに」
「髪で決めつけんな。つか、なにハロパ合コンって」
「カラオケ行って仮装で合コン」
「きっしょ」
「ハァ?どこが」
「コスプレ大会じゃん。きも」
「……ッ、ムカつくけど、お前来るなら来るっていう女子、違う学部の子でも結構居るんだって。目立つから」
「知らねー。俺予定あるから。じゃーな」
「リア充かよ」
「そんなとこ」
10月31日。
俺、赤沢樹にとっては割と特別な日。
今日はバイトも入れてないし、真っ直ぐ家帰ってまず風呂掃除する。
っていっても、正確には俺の家は同じアパートの別の部屋で、ここはセンセーの部屋。
俺がこの春大学に入って、夕飯食いに来てそのまま泊まったり、休日入り浸ったりしてるうちに、センセーいわく『何の違和感もなく、お前この部屋に居ついてるよな』って状態。
センセーってのは、俺の高校時代の恩師で今は彼氏、のはず。
「……あ、風呂の洗剤もうないじゃん。買い物メモ書いとこ」
そういえば洗剤使い過ぎだって何度か言われたけど。
その方が泡立つしキレイになる気がするからいいんじゃないかと思うけど、そういうところが無駄遣いなんだと叱られる。
「だから、お前んちの両親、ただじゃ一人暮らし許さなかったんだろーよ」
確かに、家から通えなくはない距離だし何やらかすか心配だから、と最初は家出るの止められて。
ちょうどその頃、このアパートで空き部屋が出て。
「小田切センセーと同じアパートに住むから」
と言ったら一転、すんなり許しが出た。
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