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「どんな風に?」 「それは上手く言えないけど。……さっきの質問に簡単に答えるなら、学校が好きじゃない子たちのセーフティネット的な教員になれたらと思ったから。父がそうしてたから。成績伸ばすだけなら塾でも予備校でも同じだろ」  ……なんかそれ聞いて、どうして自分がこの人にこんなにこだわったのか腑に落ちた気がした。  他の教師って、こっちを気にかけて話しかけてるように見えても、学校に来させようとか勉強する気起こさせようって意図が見え隠れして、余計引いたりってことが多いんだけど。  センセーは最初からそういう嫌な感じがなかった。 「赤沢。お前さ、この前の授業ん時、机の上にカバーつけた文庫本置きっぱなしだったろ。あれ、俺はどうでもいいけどうるさい先生は気にするから、単に仕舞い忘れなら無駄に注意されないように気をつけな」 「……ていうか、仕舞い忘れじゃなかったら何」 「いや、教員にケンカ売りたいのかなって。俺は買わないけど」  どっか抜けてるというか、教員側の人間なのにその外から俺を見てるような変な感じだった。 「赤沢。ドリンクバー行ってくれば」 「あ。……じゃあ」  席立とうとすると、ぼそっと言う。 「お前が行かなきゃ、大人の俺が先に取り行けねーだろ」 「へっ?……んじゃ、センセーの分も取って来るけど?」 「アイスカフェオレ」 「……りょーかい」  こういう会話も、本気なのか冗談なのか分からないとこあるけど。  でも、俺にとってはどっちでも構わなかった。  だって、他の人間は寄り添ってるように見せかけようとしても思惑が見えて、センセーは思惑があったとしてもそれを感じさせなかったし、一緒に居て心地良かったから。
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