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「……スイマセン。ごっそさんした」 「どういたしまして」 「自分で出そうと思ってたのに」 「じゃあ、お前がバイトとかして稼いだら奢って」 「もちろん。んじゃ、今から何がいいか考えといてよ」  ファミレス出て歩きながら、センセーは笑う。 「二十歳超えたらな。俺、外で食べるなら酒飲みたいし」 「……別に俺が二十歳なる前でも、センセーだけ飲めば良くね?てか、センセーって意外に飲める人?」 「家では飲むけど、外ではほとんど飲まない。実家帰った時とか家族と外食する時くらい」 「なんで」 「何か失敗したら嫌だから。事故起こしたら嫌だから免許も取らなかったし」 「……でも、他の先生たちフツーに車通勤の人も居るじゃん」 「うん。でも、親父もそうだったから、なんとなく。それに、都会の生活なら車なくても困らないし」  徹底してんな……。 「だから、お前が飲める年齢になったら一緒についてきてストッパーになってよ。そしたら外で飲めるから」 「……センセーってさあ」 「ん?」  あの時『俺の人生メチャクチャにする覚悟あって言ってんのか』って言われた意味が分かるし。  なんなら彼女と別れたってのもそういう、気にし過ぎだったり完璧主義だったりが原因だったんじゃないだろうかと思う。 「なに?」 「……いや、センセー自身はそんだけストイックなのに、よく俺ら、ってか俺みたいないい加減なやつにキレずに対応してくれんなと思って」  むしろ他の教師の方が変な精神論かざしてきたり、提出物出してないだけで人間のクズみたいに言うやついる。  センセーは少し考えて答える。 「それが仕事だし、……俺は、それも含めて教師の責任だと思うから。生徒のモチベ上げるのも下げるのも」
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