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「……センセーって胃に穴空いたりしてない?」 「おかげさまで」  少し後ろ歩きながら、この人は毎日ここ通りながら何考えてたんだろうと思う。  きっと、自分の楽しみのことなんて考えないで学校のことだったり、俺や他の生徒のこととか……。 「……あ、ちょっといい?センセ」 「なに」 「あの店、なんかいい感じだからケーキどうかなって。さっき出してもらったし」  道の反対側にあるケーキ屋を指差すと、センセーは苦笑いして言った。 「買ってあるよ」 「え?」 「家に来るならクリスマスケーキくらいと思って、ちょうどその店の買ってある。カットの小さいやつだけど」 「……へ……」 「てゆーか、お前それ何かの特殊能力?」 「……実は、あの事故きっかけに」 「だったら受験も楽勝だな」  前向いてさっさとセンセーは歩き出す。  ちょっとびっくりした。    ちょうど俺が目つけた店のってのもあるけど、それって、駅まで俺迎えに来る前に一度あの店行って家帰ってまた出てきたってことだよな……。  センセーんちはケーキ屋から歩いて3、4分くらいのとこにあるアパートで、周りも一戸建てやマンションの並ぶ住宅街で、コンビニも近くて住みやすそうな環境だった。  階段上がりながら俺は言った。 「ここ、家賃どれくらい?」 「聞いてどうすんだよ」 「あ……えっと、俺も大学生なったら一人暮らししようかと思って」  単に相場を聞くだけのつもりだったんだけど 「ここで?」 ちょっと驚いたみたいにセンセーは言った。 「あ、そっか。センセーが行ってた大学入ってここに住めばいーじゃん」 「残念だったな。今は満室」 「ちぇー」  でも、ここじゃなくても近くに住むのはありかもしれない。  そしたら、時々飯くらい一緒に食べたり……。
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