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「これ、めちゃくちゃ読みづらいんですけど……」
「『呪術陰陽道中無我夢中膳後藤膝栗毛無問題近衛兵長丸列伝三四門会五郎絵巻~猿飛佐助十二神将破壊大明神鬼面菅原道真南無阿弥陀仏烈級章~』のことか?」
「……そう、それ」
すげえ、本も見ずにタイトル丸暗記してるよ。
さすがは文芸部部長。
正直、タイトル合ってるか不明だけど。
「人名とか地名がこんなに長いと内容が頭に入らなくないですか?」
「それは貴様に覚える気がないからだ」
貴様って……。
「慣れてしまえばどうということはない。この本は面白いぞ。なんせ、私が小説を読むきっかけを作った作者・夢枕夏目御上院芥川天満鴎外岐宿葛飾暁流零式満願夢枕幕府先生の大作だからな」
長い!
長いよ、作者名も!
しかも「夢枕」2回使ってるし!
「あのー……、全然知らない人なんですけど……」
「なに?」
「その……ゆめなんとかって人。初めて聞きました」
「……」
その日、初めてあやめ先輩は僕を見た。
夕日に反射する黒髪美女のあやめ先輩。
放課後の教室で本を読む姿がこんなにぴったりくる人は他にいないだろう。
僕はあやめ先輩に目を向けられてちょっとドキドキしてしまった。
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