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○クズの言い分 好きな人がいるのにセフレもいるクズの場合(六花)
「………っ、あきっ」
「またいくの?お前雑魚すぎ…、っ」
真昼間に遮光カーテンで閉められた薄暗い部屋に響く、嬌声と水音と体がぶつかる音。
打ち付けを激しくしていく度に、安っぽいパイプのベッドの軋む音がうるさい。
そんな中、着信を知らせるバイブ音がこの空間の音に加わる。
情事の最中だと言うのにベッドの傍にあるスマホを確認する。
「っ、ん……、あ、き止めて」
「……」
「あき、電話出たい…、っ…」
「出れば?」
私がスマホの方に気が逸れていても、止めてと言っても構わず私の上に跨り動きを止めない男。
挙句、口を開いたかと思えば不機嫌そうにあり得ないことを言い放つ。
私はこの電話に出なくてはいけないのに。
焦る私をよそにその男はスマホを取り上げた。
「っちょ、返してよ」
「……、ほら、出んの?出ないの?」
男は取り上げた際にチラリと画面を盗み見てから、すぐに私に視線を戻してスマホを見せつけるように向けてくる。
「っ、止めてってば…お願い」
「りつ、お前のお願いなんて聞いてないんだよ。早く、どっち?」
私の要求はぴしゃりと呆気なく拒否されて、あくまで男の2択を迫られた。
その間にも行為はゆっくりになるどころか更に激しく責められて、正常な判断も理性も溶かされていく。
私がどんなに泣きそうな顔をしても男は絶対に止まらなかった。
男の指は依然震え続けるスマホの通話ボタン付近に置かれていて、少しでもズレたら通話が始まってしまうと思うと、緊張感やら羞恥でおかしくなってしまいそうだった。
「っ…は、何?この状況に興奮してんの?ナカしまるんだけど」
「っちが…、……も、電話はいいから…返して…っ」
もう何コール目か分からないがどうせもうすぐ切れてしまう。
そもそもこんな状況で出る選択肢なんて、いくら着信相手があの人であっても私には無い。
手を伸ばしてスマホを取り上げようとすると、それを見た男は更に高く上げてそれを阻止した。
「あのさ、今俺とセックスしてんの。集中してくんない?」
そう言った瞬間、男はスマホを投げた。
放物線を描いてベッド近くのソファに着地したかと思えば、そのままバウンドして床に派手な音を立てて落ちた。
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