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<クラス会>
「おう、来たか」
佐多が横に座るのを見届けると、先に席についていた小池が声をかける。
「おう。小池、早いじゃないか」
「うん。竹岡もうすぐくるころだ」
「そうか」
すぐに竹岡がやってくると、「やあ」と言いながら小池の前に座る。やがて用意されていた18人ほどの席がほぼいっぱいになる。
宴席の正面に立って金田が、「それではみなさんお集まりですので、快晴高校昭和41年卒のクラス会を始めさせていただきます。卒業して60年近くになりますが、ここにお集まりのみな様におかれては、卒業以来一度も会ったことがないという方もおられることでしょう。どうぞ、懐かしい昔話に旧交を温めてください。なお、担任の郷田先生は少し遅れるとのことですが、宴を開始させていただきます。あ、今は橋本加奈子先生です」と挨拶をする。
「いや、みんな懐かしい顔が並んでいるな」
「そうだな、佐多。でもお前とは三月前に会ったな」
小池が佐多の言葉に応じる。
「あれ、お前、佐多か」
小池の斜め前に座った山本が、すこし調子はずれの高い声で問いかける。
「おう、佐多だ。お前はもしかして、ええと」
「俺だよ。山本だよ」
「山本、ほんとに山本かい。老けたな」
佐多がしげしげと山本の顔を見つめながら感想をもらす。
「まあ、なんだな、さっき金田が言ったが、俺たちは卒業して60年にもなるんだ。老けて当たり前だろ。なあ、金田」
竹岡がちょうど横に座った金田に酒を注ぎながら、そんな言葉を口にする。
「そうか、そうだよな。60年か。老けるよな」
金田がみなの顔を見ながら酒を口に持っていく。
「ところで、お前いくつになった、佐多」
山本が佐多に問いかける。
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