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2、始まり
わたくし、もともと年配の殿方が大好きなのですよ。ちまたではオジ専……というのかしら?
なぜかというと、父が貴族社会では有名な美男子で、しかも若作りなものですから、スタンダードなタイプは見飽きているのです。今年で三十二歳だというのに、父は二十台前半に見えます。アルマンと同じく黒髪ですし、優男タイプ。父の方が美しいため、どうしてもアルマンは見劣りしてしまうのですよね。
そんな父のせいでわたくしは、ご年配の殿方の魅力に目覚めてしまいました。髭も濃いほうが良いのです。白髪はセクシーですよ。皺は知性を表します。老いてもなお、体が頑強ならば、魅力は倍増するでしょう。
わたくしはピヴォワン卿に会いたいがため、婚約者の屋敷へ足しげく通うようになりました。
幸いにもアルマンはいつも留守です。大きなお屋敷に使用人の他は二人っきり。ピヴォワン卿は三年前に奥様を亡くされていました。初めて会った時のグリーンアイが物憂げだったのは、そのせいだったのです。
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