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その後の事を、簡潔に述べるのならば――キョウは壊れた。
ミセルが向けたあの能力、恐らく魔法に類するそれはキョウ自身の命には影響が無かったが、キョウの子はあの瞬間に星に返った。私と奏の子と同じように。
ルーナは両手を付き頭を下げて私たちに詫びたけれど、私には分かっていた。あの人は元々キョウが子を殺すつもりだった。だからキョウが攻撃を受けるまで手を出さないで黙ってみていた。
その事にキョウも気付いていた。望まれなかった命、それが自分だけではなく我が子にも向けられていた事が分かったキョウは、ミセルと同じく、狂った。
血液と共に流れ出た小さな我が子を、自ら食すキョウを、私は止める事が出来なかった。
ルーナの弟であり、子供の血縁上の父親であるその男は一度も姿を現す事が無かった。
ただ側に居る事しか出来なかった。全てを無くしたキョウを、全てを無くした私が。私たちにはお互い以外もう何も無かった。
深夜に突然叫びだし、半狂乱になるキョウを。
私たちはそれから四年間、寄り添いながら二人きりで生きていた。
四年後、この世界が無くなるまで。
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