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酒の所為もあり頭の奥がじんじんと痺れる。気持ちが良くて脳まで蕩けそうな感覚は今の玲於とだから得られたものだ。玄関先で二人の吐息と衣擦れの音だけが響く。じゅるりと音を響かせ玲於の口から零れ落ちる唾液を飲み取る程度ならば許されるだろう。覚えたての癖に昨日よりは断然と巧くなっている、玲於の先行きを不安に思いつつ壁を背にずるずると崩れ落ちて三和土に腰を落とす。
この時間ではもう当然風呂には入れない。明日虎太郎が来る前にシャワーを浴びられれば良いが――……と頭の中で計画を立てていた千景の両足を広げさせその間に玲於が身を割り込ませてくる。
「……なん、して……れお……」
器用に片手でベルトを外し無遠慮に下着の中へ手を押し込んでくる。両足を閉じようにも玲於の体が邪魔をして成せない。ぐちゃりと淫靡な音が響き、その時千景は初めて自らが勃起していた事に気付いた。あの時と同じようにたどたどしい手付きで玲於がそれに触れる。
一度顎を引いて離そうとしても覗き込むように再び玲於が唇を塞いでくる。
「ぜんぶ……ちかにぃの、ぜんぶ、欲しい……」
片足ずつズボンと下着を脱がせ、玲於はその残骸をリビングの奥へと放る。抵抗する千景の両足を無理矢理左右に開かせ先走りの蜜を絡ませながら上下に扱き始める。止めなければならないのに千景の体は言う事を聞かない。
「は……ちか兄の、ちんちん……おっきい……」
「見、るな……」
手を白濁でべたべたに濡らしながら玲於は見せつけるようにそれを舐め上げる。玲於の雄の顔を見た千景は無意識に首を左右に振るが拒絶の言葉は喉の奥に引っ掛かり出て来なかった。
「見せて、ちか兄のぜんぶ……見たいの……」
指先に先走りを絡ませ閉じたままの蕾に指を埋め込む。幸いな事に竿を伝い蜜は幾らでも溢れ出て潤滑に事欠かない。始めは頑なに閉ざしたままのそこも蜜の助けを借りて一度滑り込ませれば収縮しつつもそれを受け入れ奥へと進ませた。
「……だめ、っ指……抜、ッ……あ、ぁっ……」
せめてもの抵抗として玲於の腕を掴む千景だったが玲於は頑として引かず、内部を指先で探る内千景の力が弱まるそこを探りだしぐにぐにと数度押してみたり擦り付けたりを繰り返す。
「イイの? ちか兄ココ、イイの……?」
その度に蜜は溢れ、千景は浅い呼吸を繰り返しながらも口の端からはだらしなくも唾液が伝う。勿体ないと玲於は唾液を舌先で拭い、そのまま再び唇を重ねたい衝動に駆られたが今は余す事なく千景の顔を見ていたかった。千景の言葉と表情は異なっていた。駄目と言いながらもその顔は美味しそうに赤く熟れ、両目に浮かぶ涙は玲於の劣情を誘うだけのものだった。
千景が喜ぶそこを何度か指先で叩いたついでにもう一本の指を忍び込ませる。途端に千景の両足が跳ねて隠そうと閉じ始めたが、音を響かせて奥への抽出を繰り返せば千景の顔は眠そうに瞼を落としつつ玲於を誘った。
「……やあっ、……れ、おっ……や、だぁ……」
「ちか兄……可愛い、めっちゃ可愛い……」
三本目の指を入れて内部で広げる。びくびくと痙攣するように千景の体が跳ね、乞う様に玲於の肩口に顔を押し付けた。
「抜、いてっ……ぁっ、や、もっ……」
この可愛い声も姿も自分しか見ていない優越感にぞくぞくと高揚を覚えた。三本の指を抜くと再び閉じた門はひくひくと呼吸しているかのように収縮する。
玲於は玄関から少し場所を移し、リビングの床に座り直した。自らのズボンを寛げもう大分前から千景が欲しいと涎を零し脈打つ自身を見せながら向かい合う形で千景を自分の腿の上に座らせる。自分に寄り掛からせる形で千景を膝で立たせる間、千景は玲於の鎖骨や喉に口吻を繰り返す。
「俺のちんこ、ちか兄のナカ、挿れてい……? ぐちゃぐちゃに掻き回したい……ちか兄のえっちな顔、もっと見たい……」
小学生の語彙だとしても千景の頭には届かなかった。玲於は指で蕾を強引に開かせながらそこに先端を押し付けて口付ける。
実際の所玲於の確認は許可を得る為のものではなく、これから行う事への予告だった。もし少しでも千景が嫌な顔をしたならばそこでやめるつもりはあった。
「れお、だめっ……んう、ッ……んぁ」
千景の腰を掴んで腰を進める。千景の体の一つ一つが緊張しているかのように張り詰めるが、期待を裏切り千景のそこは玲於の全てを受け入れた。
「……ぜんぶ、挿った、あ……分かる? ね、ちか兄……」
「……くる、しぃ……」
腰から下が自分のものではないように感じる。太い楔を押し込まれているように鈍い痛みが全身を支配する。その持ち主は愛しくて可愛い従弟。自分は何か間違ってしまったのだろうか。天使が天使の顔をしたまま嬉しそうに微笑んでいる。この笑顔をずっと守りたいと思っていた。
「泣かないで……可愛い、ちか兄……好き、大好き……ね、キスして……」
身を起こしているのが精一杯でこれ以上動く体力が残っていない。ただ目の前には愛しい天使の顔がある。「大好き」とその言葉が自分に向けられている事が分かる度心が躍る。気怠い両腕を持ち上げ玲於の肩に掛ける。
「れぉ……ぁ、……す、き……俺も……」
玲於はゆっくりと律動を始めた。千景が吐く二酸化炭素を少しでも逃さないように唇を重ねる。千景が自分の二酸化炭素だけを吸って生きていければ良いのに、そんな事が頭に過ぎったりもした。千景の舌は玲於にとって柔らかくて甘く、幾ら舐めても無くならないキャンディーのように玲於を夢中にさせた。
「可愛い……好き、ちか兄……、此処、良いの? びくびくするね……?」
「……ぁ、そこ……ぉ、い、いっ……の、っ……」
ある一点を経過する度千景の締め付けが強くなる。同時に千景が甘い吐息を漏らすその箇所をしつこい位に嬲れば千景が可愛く何度も玲於に甘える。
「ちか兄が喜んでくれて嬉し……離さないよ、離さない……大好き、ちか兄大好き……」
千景の中で玲於が弾けた。曲がり角まで届くそれは千景を内部から刺激し、玲於にしがみついたままの千景の体がぶるぶると震える。
「……んんっ、れお……ナカ、あつっ……」
「全部飲んで……ちかにぃ……好きだよ、可愛い……」
くたりと頭を擡げる千景の顎を捉えて玲於は「ごちそうさま」と呟く。
『……俺何聞かされてんの?』
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