信じなくてもいい

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小学校に上がっても、大人しかった少女は、男女問わずイジメられた。 男子からはお腹を蹴られ、女子からは、2人掛かりで両腕を掴まれ、後ろ向きにされ、階段を二段抜かしで駆け下りられた。 少女は、腰を階段にぶつけて翌日まで痛みが引かなかった。 教師に言っても、「貴女が我慢すれば良い」「本当に、そんな事されたの?」と、取り合ってもらえなかった。 私は嘘をつく子だと思われているんだ…。 ダメ元で母にも言った。 「あんたの事が羨ましいだけでしょ」 やっぱりダメ元は、ダメだった。 味方のいなかった1人ぼっちの少女に近づいてきたのが、冒頭の女子だった。 「一緒に帰ろう?」 女子は言った。 少女は初めて友達が出来たと錯覚した。 女子は少女の家に放課後、毎日来るようになった。 女子は、弟のことも誘ったが、母が断った。 「この子の面倒は、おばさん見れるから、2人で行ってらっしゃい」 そうよね…母が弟を手離す訳がない。 その矢先、冒頭での事が起きた。 少女は、怖いのと、恥ずかしいので、母には言えなかった。 言ったところで信じてもらえる訳がない。 只、引っ叩かれた事だけは、頬が腫れてるから、と思って言った。 でも、その翌日、何喰わぬ顔した女子が家に来た時、母は、「行ってきなさいよ」と少女を追い出した。
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