信じなくてもいい

2/4
前へ
/4ページ
次へ
少女の家庭は4歳で物心ついた時には、もう2歳下の弟に母は、ベッタリだった。 父も仕事仕事で滅多に帰ってこない。 夜、寝る時、少女は壁際に追いやられた。 そして、父と母は、弟を囲んで寝た。 少女は、毎晩、怖い夢を見た。 母が死ぬ夢、殺される夢、たまに父の時もあった。 4歳の少女が怖くなって夜中に目を覚ますと、壁が目に入った。 少女は、反対側に居る母の方へ寝返りを打った。 母は弟の方を向いていたから、毎晩、背中を向けていた。 少女が小学生になるまで、それは毎晩、続いた。 幼稚園から帰る時、少女は毎日、憂鬱だった。 他の子達の親は皆、幼稚園バスの迎え場所まで来てくれていた。 でも少女の母親は、弟と昼寝して玄関に鍵とチェーンを掛けていたから、少女は、いつも1人で帰って、玄関の外に座っていた。 幼稚園側も迎えが来ないのに、少女を幼稚園に連れ戻す事はしなかった。 夏は、蚊に刺され、冬は霜焼けになり、それでも少女は1人、夜になるのを待ち続けた。 弟が少女の腕を噛んで、少女が泣いても、母は知らんふりだった。 少女は、次第に母は弟さえ居れば良いと思うようになっていった。 母は、イジメを見ても見ぬフリすること、自分は成績が良いから、イジメられなかった事を少女によく自慢気に話していた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加