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序章
遥か遙か天高くにおわすという神が、夜空を照らす月を、人の導たる星を拭い去ってしまってから無限の時が過ぎた。
そのきっかけが何だったのかを、この地に残された私達は知らない。
夜空はのっぺりとした漆黒が張りつくだけになり、夜闇は人の起こした小さな光をたやすく飲み込んだ。陽の光を頼りに生きる者たちは日が傾けば家へと戻り夜明けを待ち、夜の世界は光に頼らず生きる者たちが跋扈する時間となった。
けれど、それでも徐々に人々は夜闇を照らすすべを生み出し、夜の世界を歩み始めた。
はじめは己の家の中を、続いて道を、町を、と照らし続けた彼らはじきに大陸から海へ出るようになった。
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