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※
「ちょっと! 話が違うじゃない!!」
森中に女の叫びが響き渡った。重たい体を揺らし、走る女が振り返る。茶色い傘に空いた丸い穴型の目と口に、石突きから伸びる糸が絡み合ってできた足――無数の巨大な化けしいたけ達が、
「欲しいほしい」
と呻きながら、逃げ惑う女を追い回していた。
「だから言ったでしょ、お腹を満たしきれないほどの数だって……どうです、逆に狩られる気分は?」
腕を組んで木に寄りかかる男の顔が、
「しかし良い養分集めも大詰めですね」
しいたけの形へと変化していく。
「お陰様で間もなく、最高の欲しいたけを憎き人類達にお届けできそうです」
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