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ふくよかな女と痩せた男が森で向かい合っていた。
「あなたのホームページに書いてあったと思うけど」
女が腰に手を当てる。
「食べ放題なのよね?」
「もちろんです」
男は微笑んだ。
「僕が管理する森で採れる『欲しいたけ』に、制限などありません」
「実はあんまりたくさん採れないなんてことは?」
目を細める女に、
「ご安心を」
男が胸を叩いた。
「この森に自生する『欲しいたけ』は、常にお腹を満たし切れないほどの数で溢れ返っていますよ」
「じゃあ身が肉厚だって話も本当?」
「それはもう! いつも欠かさず良い養分を与えていますので」
「ふーん……欲しくて堪らなくなるほどのしいたけってのもあながち嘘じゃないみたいね」
女が口元に垂れた涎を拭った。
「見てなさい、欲しいたけを山ほどかき集めてみせるわ!」
男は手揉みをする。
「ご利用ありがとうございます。それでは存分に欲しいたけ狩りをお楽しみください」
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