Prologue

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「えっ、乙和、付き合ったの?!」 乙和くんの所に会いに来る友達が、たびたび言っていた。それは、男の子でも。女の子でも。 「えぇ、乙和のこと狙ってたのにぃ」と、残念がる可愛い女の子もいたけど。 「ごめんなぁ、俺彼女一筋なんだわ」と、やんわりと断っていた。 乙和くんの友達は、私が彼女と知っても「なんであの子?」みたいな事は言わなかった。 もしかしたらそれは、乙和くんの友達がみんな知っているからかもしれない。 ──…乙和くんは、外見で判断しない人だと。 だからこんなにも、周りに人が集まるのだと。 みんな乙和くんが、すごく性格がいいと分かってる。 もちろん、私がも友達に顔を赤く染めながら報告した。「すごいね、早川くんとか」「おめでとう!」って喜んでくれて。私も笑顔になった。 乙和くんと付き合ってからは、私は戸惑うことが多かった。私は誰とも付き合ったことが無い。だから比べ方が分からないけど。 乙和くんは、付き合った日から何かと甘い雰囲気を作るようになった。 ノートを貸す時に以外にも話しかけられる。 「はる」と、柔らかく甘い声を出す乙和くんは、なんというか…。 ベタベタするっていう言い方はおかしいかもしれないけど、一緒に帰る時は必ず手を繋ぐ。 廊下を歩いてる時は「だーれだ」って、後ろから抱きしめてくる。 教室の中では、イスに座っている乙和くんが、乙和くんの膝の上に私を乗せる。 「軽いなあ温かい、好きだなあ…」と、そのまま私を抱きしめてくる乙和くんに、ずっとずっとドキドキしっぱなしで。 「お前らいちゃつきすぎ」と、呆れたように笑う小山くんに、乙和くんは「いいだろ」と穏やかに笑っていた。
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