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優しいのか、勝手なのか、よく分からない人だ。私の体を心配しているようで、全部自分のためのようにも見える。
そういえば、さっき鷹野さんが置いて行った趣味のものっていったい何だったんだろう。
私のベッドの下に押し込んでいたことを思い出して、覗き込んでみる。
いいよね。後で確認するって言ったし。
そっと手を入れて取り出してみると、それは思いもよらぬものだった。
「えっ。ウソ……」
それは、私が観たいと思っていた大河ドラマのDVDボックスだった。戦国武将に扮した俳優の表紙を見た瞬間、思わずテンションが上がって立ち上がってしまった。
鷹野さん、歴史好きなの⁉︎ 大河とか観る人だったの⁉︎
全然興味ない人だと思っていたのに!
「なあ、悪いけどさ」
その時、お風呂場のドアが開いて、鷹野さんの声がした。
「え?」
「押し入れから俺のバスタオル取ってきて。持って入るの忘れてた」
振り向くと、全裸の鷹野さんがいた。思わず下半身の方に目が向いて……。
「き、きゃああああ!!」
私は驚いてDVDボックスを落としそうになった。
「なにしてんの、それ俺の」
「すみません、ごめんなさい、いまタオルを持って行くのでっ」
「早くしねえと、ここにあるあんたのバスタオル使うぞ?」
「やめてくださいっ」
私のタオルで鷹野さんの体が拭かれてしまう。想像すると恥ずかしくて死にそうになったので、私は慌てて鷹野さんの荷物が入っている押し入れからタオルを出した。
「はいっ」
「サンキュ」
私はしばらく呆然として床にしゃがみ込んだまま立ち上がれなくなってしまった。
信じられない。付き合ってもいないのに、いきなり全裸を見せるなんて……どういう神経をしてるの⁉︎
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