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合コンに行こう
「ねえ、沙羅。悪気はないんだけどデリカシーのない男って、どう思う?」
「ん? どうした急に」
鷹野さんと同棲が始まって四日目のお昼休みのこと。
沙羅とお弁当を食べながら、私はついに溜まりに溜まったモヤモヤを彼女にこぼしてしまった。
「あ、昨日観たドラマの話なんだけどね?」
沙羅が興味津々の表情でこっちを見るから、焦って言い訳をする。
「へー、どんなドラマ?」
「すっごくマイペースな男ととある事情で同居しなきゃいけなくなったヒロインが、彼に翻弄されてトラブルに巻き込まれて行くっていう……ホームコメディー? みたいな」
「えっ。面白そう。何時にやってんの? 深夜枠?」
「な、なんだったかな。サブスク配信のオリジナルドラマだったかも。単発か連ドラかも分かんないんだけど。もしかしたら過去ドラマの再放送かも?」
「ふーん」
沙羅はドラマ通だからドキドキする。
あれから、私の中で鷹野さんの評価は上がったり下がったりで乱高下している。ご飯をすごく美味しそうに食べてくれるのはいいし、タバコも約束通りちゃんと外か換気扇の下で吸ってくれてはいるんだけど……。
「デリカシーがないって、たとえばどんなこと?」
沙羅の質問に、私はよくぞ聞いてくれた、と内心膝を叩いた。
「あのね、付き合ってもいないのに裸でうろついたり、下着をヒロインに洗わせたりするの! 恥ずかしげもなくよ? それで謝ってくれたらいいのに、そんなことで怒んなよっていう態度なの、どう思う⁉︎」
「その男って、イケメン?」
私は鷹野さんの顔を思い出す。
「うん……まあね」
「イケメンなら許す、かなー」
「えええっ⁉︎」
私はびっくりしてタコさんウインナーをお弁当箱の中に落とした。
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