失恋ランチは恐怖の始まり

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「今頃どうしてるのかな……。今日中に荷物をまとめて出ていくって言ってたんだけど、もう次の住処は決まってるのかな。ご飯とかどうしてるんだろう」 「心配なんかするなっ! あんなヤツのたれ死んで当然なんだから! でも……悔しいけどどうせ次の女の家にでも行ったんだろうね。もう、次の女に即フラれて捨てられればいいのに!」 「そうしたら戻ってくるかな?」  半分冗談で言ったら睨まれた。   「戻ってきても追い返しなさいよ」 「……はい」    私にちょっと自信がないのを見越したのか、沙羅は眉間に皺を寄せた。   「あんたさあ、もうちょっと自分に自信持ちなって。化粧だって女子高生よりあっさりしてるでしょ。やり方分かんないなら私が教えてもいいし、今は動画でメイクの勉強もできるじゃん。顔立ちは悪くないんだから、もうちょっと目立つように頑張りな! 一生その陰気くさい雰囲気で生きるの? もったいないよ! まだ二十代なんだから!」 「あと二年で三十路だけどね」 「そうだよ、売り込むのが遅いくらいなんだから、もっと焦りなって! いい男はどんどんこれからいなくなるんだよ?」 「そういえば、沙羅が憧れていた営業部の山田課長さんも最近結婚したって聞いたね……」 「山田課長! マジ凹む!」  沙羅は残念そうに頭を抱えた。さっきから百面相を見ているみたいで面白い。 「あとうちの会社で生き残ってるイケメン、何人いる? って感じ。開発部の佐野さんと、経理部の星野さんと、総務部の岩田さんと……」    沙羅が指折り数えている時、蕎麦屋にどこか見覚えのある顔が入ってきた。  身長180センチ越えの黒髪で切れ長のクールな瞳。 「……鷹野さん」
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