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アデルミラがロレンシオの胸をポンポンと叩けば、ロレンシオはただ口元を緩めながら「こんな俺だが、婚姻してくれるか?」と問いかけてくる。だから、アデルミラは「……当り前、だからっ!」と涙声で答えた。
「私、ロレンシオ以外の男性との婚姻なんて、考えられないの。……ロレンシオじゃなきゃ、嫌なの。……今度こそ、今度こそ、ずっと一緒にいてよ!?」
「もちろんだ」
半ば八つ当たりのようにそう告げれば、ロレンシオは間髪入れずにそう返してくる。そして、起き上がった。
空はオレンジ色に染まっており、もうそろそろ夕食の時間だろうか。……一体、アデルミラ自身が何時間眠っていたのかは、考えない方向で行こう。そう、アデルミラは思った。
「……アデルミラ」
そんなことをアデルミラが思っていれば、ロレンシオは不意にアデルミラの身体の上に覆いかぶさってくる。……嫌な予感が、する。そう思いアデルミラが身を震わせれば、ロレンシオは「……足りない」と言ってアデルミラのワンピースの中に手を入れる。その手つきには下心が籠っており、アデルミラは「もしかして、マズい?」と思ってしまう。
「俺が、眠っているアデルミラを見て、どんなに我慢したと思う? ……本当は、もっと犯してやりたかった。……なぁ、アデルミラ」
「……む、無理っ! 無理だから!」
「そう言うな。……せっかく久々に会えたんだ。……存分に愛させてくれ」
ロレンシオはそう言いながら、アデルミラの身体から毛布を奪い取る。寝台がぎしりと音を鳴らし、ロレンシオはアデルミラの逃げ道を奪う。……このままだと、本当に捕食されてしまうのではないだろうか? 一瞬アデルミラはそう思ったが、その考えは長くは続かない。ロレンシオの優しい口づけに、意識が移ってしまったためだ。
「……ロレンシオ。せめて、その……優しく、して」
多分、この調子だと彼は止めてくれないだろう。そう考え、アデルミラはせめてと思いロレンシオに上目遣いでそう言ったのだが……どうやら、それは逆効果だったようで。ロレンシオは真剣な表情で「無理だな」と告げてくる。
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