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確かにミオくんの言う通り、菜乃花と友達でいたいのは事実だった。菜乃花と元に戻るには真耶に謝ること──。 冷静に考えれば自分勝手な真耶にムカついて、スマホを投げてしまったのは確かにやりすぎたし反省部分でもある……。 だけど言動には後悔していない。真耶は人を見下す。そういう人間なんだから。 翌日の学校内、2時間目の休み時間に3年4組に行けば、真耶はいた。同じクラスらしい流風はいなくて……。 真耶は私が来ると分かっていたのか、私の顔を見るなり「謝りに来たの?おめめちゃん」とバカにしたように言ってきて。 自分の眉が寄せられるのがわかった。 真耶と人気のない廊下の端にきた。 真耶はその壁の廊下にもたれながら、私を見下ろす。背の高いこの男は── 「ミオ呼んどく?誰も来ないこーんなところに呼び出されて、 俺なにするか分かんねぇよ?」 昨日のように、私の首で何かをするかもしれない。 「昨日、ミオくんに言われたの。友達と友達でいたければ真耶に謝れって」 「ふうん」 「だから、ごめんなさい」 「なに、あっさり謝るんだ。あんなに啖呵切ってきたのに?」 「スマホも投げてごめんなさい」 「別にいいけど、あんなの買えばいいだけだし」 買えばいいだけ……。 お金持ちか、なんなのか。 「あなたが何者か知らない……。でも確かにミオくんの言う通り友達は大切にしたい……。」 「へー…」 どうでもよさそうにする真耶。 「友達ねぇ、」 「……」 「要するに、1人になりたくないから、昨日のことを無かったことにしたいわけだ」 「……」 「残念ながら友達いねぇからその感覚全く分かんねえなぁ」 ミオくんは友達じゃないの?と思ったけど。 「俺ねぇ、ほんとにおめめの事、1人にさせるつもりだったわけ。んでもミオがうるせーから」 と、口角をあげて呟いた真耶を見上げた。 そんな真耶は、私を見下ろし昨日のように指先を伸ばしてきた。首に触れられると思ったそれは、後頭部に回る。 「どんな方法か知ってる? 転校生の瞳ちゃん」 まるでキスするような引き寄せられかたに、ビクリとなったけど。負けじと真耶を見つめた。 「……知らない…」 「お前に手ぇ出すんじゃないよ。周りを消していく」 ……周り? 「おめめの大事な友達とか?」 菜乃花……。 「兄弟も、親も。親戚も。家も、バイト先も──全部。消しちゃう。それでターゲットを1人にさせる。ほんとに、ひとりぼっち」 この言葉が嘘じゃないと分かる。真耶が今までにしてきたこと。だからこそ菜乃花は私から離れていったのだ。 真耶に消されたくないから。 「最後にはね、泣いて縋って謝ってくる。1人にしないで……って。そんな奴を見下ろすのが楽しくてさぁ」 「……性格、悪すぎるよ」 くすくすと笑う真耶は、「じゃあ悪役っぽく、」と強引に私を引き寄せた。 「なんだっけ、お前の友達。そいつ消されたくなかったら──…分かるよな?」 「……消すってどうやって?」 「何がいい?襲わせる?全然、海でも土でもいいよ? なんなら魚でも。それとも生きたまま焼く?」 「それが、あなたにはできるの?」 「うん、できちゃう」 にこりと笑った真耶は、反対の手で私の腰を引き寄せた。
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