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真耶が今、なにを考えているのか分からない。
いいおもちゃを見つけたと思っているのか、まだ怒っていて仕返しをしようと思っているのか。
それとも流風の事に関して、苛立っているのか。
放課後4組へ迎えに行けば、さっきとはうってかわり機嫌の良さそうな男がいた。馴れ馴れしく私の肩に腕を回して、「なァ、聞きたいんだけどさ?」と、耳元で呟いてくる。
なに?と、怪訝な表情で真耶を見つめた。
「お前の友達ってどれ?軽くミオに聞いたんだけど顔知らなくてさぁ」
言う必要あるの?
菜乃花に関して、真耶には言いたくない。
「どうして?」
「んー、まあいいや。とりあえず行こっか」
行くってどこに?
「……どこ行くの? 帰りたいんだけど…」
「はは、付き合ってすることってひとつしかなくね?」
付き合ってすることはひとつ?
真っ先に思い浮かんだのは、性的な行為だった。
嘘でしょ?
だって真耶、私のことをよく思ってなくて……。
他のことだよね?
ビックリして真耶を見上げると、真耶は「なんの事か分かったの?やらしー」と頬に唇を寄せてきて。
まるで本当のカップルかのように接してくる男。
「ちょ、やめて……」
「なんだっけ?菜乃花だっけ?」
菜乃花の名前を出されてビクついた私は、真耶を睨みつけた。子供みたいに笑う真耶は、全く動じなく。
「早く行こ、動画とって流風に自慢すんだから」
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