26人が本棚に入れています
本棚に追加
「お願いだから、別れてほしい」
「っ、う、や、だ……別れたく、ないっ」
「俺ももう限界なんだ……ごめん」
「…っ、まって、まってよ、三上くん」
「ごめん!!!」
無情にも、朝のホームルームが始まるチャイムと同時に三上くんは駆け足でいなくなってしまった。
この別れ際のやり取りも毎回お決まりのパターン。
どんなに私が泣いて縋っても、相手の気持ちは変わってくれない。むしろ逃げるようにその場を去っていってしまう。
惨めに取り残された私はただただ涙を流すことしかできない。
朝8時30分の図書室。静まり返った空間に、私の啜り泣く声が響き渡る。
振られるたびに思うの。もう誰も好きになりたくない。恋愛なんてしたくないって。
この瞬間は胸が張り裂けるくらい苦しくて苦しくてとにかく苦しい。
"恋愛体質のメンヘラ" この自覚は十分ある。
シングルマザーの母親が男遊びばかりしていて愛情不足の中育ったとか。意地悪な幼馴染に人格否定をされ続けたせいで自己肯定感が低いとか。
そんなバッグボーンは私にはない。
普通の家庭で両親にそれなりの愛情をもらって育ち、自己肯定感を低くする幼馴染もいなければ、劣等感を抱くような兄弟姉妹もいない。
私、春瀬仁乃は突然変異型のメンヘラなのです。
最初のコメントを投稿しよう!