あの日

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あの日

この物語は、一人のわがままから始まる復讐劇である。 「次のニュースです。  夫婦の遺体が自宅で発見されました。    夫の鈴木(すずき)(つよし)さんと、妻の鈴木百合(ゆり)さんは午後5時頃、自宅で倒れていると通報があり、搬送先の病院で死亡が確認されました。」 ある日、私の親は殺された。 明るく優しいお父さんに、冷静でかっこいいお母さん。 大好きでいつまでもこの時間が続けばいいとさえ思えるような、そんな家族だった。 誰からも恨まれるようなことはしていないのに、それなのに殺された。 私と2歳年下の妹を残して。 お葬式に来る大人は、まだ子供の私たちを「かわいそう」とだけ言って過ぎ去っていった。 今ではムカつく話だが、あの時は何も考えられず、目の前が真っ暗だった。 それから私たち姉妹は、祖母のところに預けられた。 おばあちゃんは優しく受け入れくれたし、たくさん一緒に泣いてくれた。 でも私が中学生の時、おばあちゃんはがんで入院した。 そして、私が高校生の時にひっそりと息を引き取った。
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