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「明日の安部も鍋蔵ぐらい素直だったら楽なんだけど。そんな奴だったら、初めから私にまでまわってこないよね」
平はそう言って、とりあえずひと口サイズの小さな玉ねぎひと玉を口に放り込んだ。
「うん、おいしい。味付けはビーフシチューと同じみたいね」
次にいよいよ肉をスプーンに乗せた平に、真鍋が声を掛けた。
「あ、肉に骨が入ってますから気を付けて下さいね。あ、なんなら明日、私も顔を出しましょうか?」
平は、真鍋の忠告に「ありがとう」と答え、申し出には「大丈夫」と答えた。
「曽我部長からも顔を出そうかって言われたけど、断ったわ。そんなに出てきたらオペレーション・ボッチの意味がないもん」
確かにそうなのだろうが、平一人ではさすがに負担が大きそうに思えた真鍋は、首を横に振った。
「ずっとは居ません。三十分もしたら帰りますから。だいたい、平課長には安部の仕事内容が分からないでしょう?」
真鍋が言う仕事内容とは、宮辺物産従業員としての包括的な仕事のことではなく、安部個人の具体的な仕事内容だ。
「そうね。じゃあ、甘えちゃおうかな」
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