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平の発言を聞いて、宮辺は元々細い目を更に細くした。
「オペレーション・ボッチ。ターゲットは?」
「営業部隊の安部四等兵、あ、いや、営業部の安部君です」
途中挟まれた宮辺の咳払いに、さすがに平も悪乗りが過ぎたと反省したようだ。
「またアレをやるのか。効果は認めんでもないが、安部君は筋金入りのようだ。私も何度か名前を聞いているからね。そんな彼にも通用するかは疑問だな。しかも、リスクがとんでもなく高い」
宮辺はそう言って苦い表情をしながらも、平の要求を拒否する様子はない。
「それでは実行に向けて動いていいですね?」
「いや待て。せめて来週の火曜日まで待ってくれ。繁忙期ではないと言っても、各所に迷惑を掛ける」
「では、金曜日」
「火曜日だ」
「月曜日!」
「火曜日以外は認めん。おい、平君」
「何でしょう?」
「キミ、テレビの見過ぎだ」
「私、テレビなんて飲みませんよ」
二人の不毛なやり取りに、すっかり気配を消して座っていた、平と同期の社長秘書が小さく笑った。
「持田さん、居るなら居るって言って下さいよ」
平にそう言われた持田は、更に声を出して笑った。
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