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「真鍋です。相変わらずですね、平課長は」
真鍋は苦笑しながらお白州の輪に加わった。
「うん、丁度良かった。おなべ、ちょっとこっちに」
「真鍋ですけどね」
手招きされた真鍋が平の横に立った。
「実はこの真鍋課長が」
「なんだ、ちゃんと呼べるんじゃないですか」
「うるさい。実はこの真鍋課長が、第一回オペレーション・ボッチのターゲットでした」
そう平に紹介された真鍋は、素知らぬ顔で斜め上に視線を向けている。
「新入社員研修五日目に寝坊し、会社からの電話で目を覚ました彼はこう言ったのです『あ、今日は土曜日だと思っていました。まだ酒が残っているので出社できません』」
その話を聞いて、真鍋より古株の人間は懐かしいと笑い、後から入社した人間は信じられないと驚いていた。
「いやあ、懐かしいですね。せっかくなので私が再現してみましょうか?」
そう言って自分のデスクから椅子だけ引っ張り出してきた曽我を、平が何とか止めようと努力したが無駄だった。悲しいかな曽我を止めようとしたのが平だけで、営業部は全員曽我が椅子を持ち出した瞬間にその場に正座し、お白州が高座へと変わってしまった。
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