第3話 もふもふスープで決起集会

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 仕方なく平も正座したが、座った場所が曽我の左側だったので、これではお囃子さんのようではないかと正面に座り直した。全員が座ったのを見て、椅子の上に正座した曽我がお辞儀をして膝をひとつ叩いた。 「えー、世間では飽きっぽい、辛抱が足りない人のことを指して、三日坊主だなんて申しますが、これが趣味とか遊びならまだいいんです。ところが、おまんま食う為の仕事が三日坊主だとさすがに具合が悪い。会社の為にも、本人の為にもなりませんからな、ええ。この宮辺物産にも、とんでもない三日坊主が居りましたようで」  あらかじめ稽古をしていたのではないかと疑いたくなるほど滑らかに話す曽我が、ここで上着を脱ぎ始めた。 「旦那! 若旦那! おう、どうしたい、(へい)(きち)。どうしたもこうしたもありませんや――」 「――はあー、鍋蔵(なべぞう)も偉くなったもんだねぇ。へい、それもこれも平吉の旦那のお陰ですが、あんな目に遭うのはもう、まっぴら、御免です」 「まっぴら」という落ちの部分で、いやらしく表情を決めた曽我が最後に深くお辞儀をすると、平と真鍋以外は派手に拍手と歓声を上げた。
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