第3話 もふもふスープで決起集会

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「とうとう気付いちゃいましたか」  真鍋の予想外の反応に、平は思わずテーブルを叩いた。 「なに? 鍋蔵知ってたの?」 「知ってたというか、社長、ってか、この会社のやりそうなことだなって。平課長の名前を見た瞬間に思いましたよ。なんか、子供の頃から『平社員(ひらしゃいん)』って呼ばれてたんだろうなって。逆に今まで平課長が気付かなかったのが不思議ですよ」 「だって、子供の頃は『尼さん』ってあだ名だったもん」  そう言った平は、今度はゼンマイが切れたおもちゃのように額をテーブルにコツリとぶつけて停止した。 「こんな会社、一生祝ってやる」 「祝うんですか?」 「呪うと間違えたのよ」 「書き間違えることはあっても、言い間違えることはないでしょうに」  その後しばらく平はテーブルに額をぶつけたまま動かなかったが、五分程して額の赤くなった顔を上げた。 「鍋蔵、マルチーズはまだか。マルチーズ、マルチーズ、マルチーズ、マルチーズ」  その声が聴こえたわけではないだろうが、マルチーズと連呼する平の横に料理を持った店員が来た。
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