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「『えー、なんッスかそれー。マウンティングってやつッスか?』でしょう?」
再び女子社員が笑い、今度はそれにもう一言付け加えた。
「言う、言う! あとあれ。『そんなことばっか言ってっから老害って言われるんッスよ』とか!」
楽しそうな顔をしてそう言った女子社員の顔を、曽我は真顔でじっと見て言った。
「町田さん。その『老害』って、もしかすると私でしょうか」
女子社員の町田は、曽我の哀しそうな目を見て慌てた。
「いや、どうでしょうか? あ、私、そろそろ外回り行ってきますね! では、行って参ります!」
町田がひったくるように自分のデスクの下から営業カバンを取ると、他の社員が一斉に「お気を付けてー」と返した。
「真鍋課長、老害って」
「部長、私も出てきます」
逃げるようにして出て行く真鍋を見送り、曽我は肩を落として自分のデスクに座った。
「一度相談してみましょうかねぇ」
曽我はそう呟くと、受話器を上げて内線番号を押した。
「営業部の曽我です。はい、お疲れさまです。平課長はお手すきでしょうか?」
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