第4話 いざ始動

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 自分の席に座りながらだらしない挨拶をした安部が、返ってきた挨拶に初めて異変に気がついた。 「あれ? 課長、どうしたんッスか、その格好」 「うん。今日は俺、休みなんだけどね、ちょっと忘れ物したから取りに来ただけ。もう帰るよ」  安部は真鍋の言葉を聞きながら辺りを見渡した。 「他の人は?」 「皆も休みっぽいね」 「部長も?」 「部長も」  どうやら出社しているのが自分だけらしいと悟った安部は、とても取引先には見せられないような不満と怒りが入り混じった顔をした。 「っんだよ、それー。俺もアポ取り直して今日は帰ろうかなあ」  予想した通りの反応に、思わず真鍋は苦笑いした。 「皆は年休届をちゃんと出しているからね。もちろん私も。それに、総務の方でどうしても今日中にやっておきたい仕事があるから手を貸してくれって言われていてね。今日は安部君しか出社しないって伝えたら、じゃあ安部君に頼むってさ。空き時間、あるだろう?」  営業部のメンバーは、オンラインスケジュール管理ソフトに全てのスケジュールを入力している。成果を報告する日報の役割も兼ねているので、入力漏れは基本的にない。
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