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「は? なんッスか、それ? 課長!」
安部の声を背中で受けてオフィスを出た真鍋と入れ替わりに入ってきた平を、安部は思い切り睨みつけていた。
「おはよう、安部君。真鍋課長から聞いたと思うけど、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだ」
安部は挨拶も返さず、膝を揺すって不機嫌さを露わにしていた。
「先週サボった罰かなんかッスか、これ?」
安部は揺する膝に肘を置いた態勢で、横に立つ平を下から睨みつつ言った。
「へえ、サボったって自覚はあるんだ」
「違いますよ。あの日はマジで怠かったんです。会社側はサボったって思ってんでしょ、どうせ」
まるで中学生だ。平はそう思ったが、ここで中学生に対して叱るようなやり方をしても無意味だ。とりあえず平は安部の次の言葉を待った。
「好き勝手に休んだら、他の社員に迷惑を掛けるって言いたいんでしょ? こんな事しなくたって、ひとこと言えば分かりますよ。俺も馬鹿じゃないッスから」
「そんなの、私だって分かってるよ。でもね、別に身をもって分かってもらおうと思ってオペレーション・ボッチを実行しているわけでもないの」
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