7人が本棚に入れています
本棚に追加
驚く安部に、平は追い打ちをかけた。
「社長だけじゃないよ。営業部の他のメンバーも、他部署の人たちも。今日という日のために、この一週間は必死だったと思う」
平の言葉に、俯いていた安部が顔を上げた。
「そんなの、俺っていうより、みんなが罰ゲームみたいじゃないッスか」
眉間に皺を寄せてそう言った安部に平は頷いた。
「そう。罰ゲームね、一種の。特に営業部に対しては、お互いに見ようとしていなかった罰」
平の言葉の真意を読みかねている安部は首を捻っている。
「さっきも言ったけど、安部君って頭いいじゃない?」
「そう聞かれて『はい』って答える人いないッスよ」
「それはそうかもね。でも、それは置いておいて、仕事ができる安部君には、一度説明したら後は自分でそれなりにやってくれるって甘えが他の人にあったみたいね。逆に安部君は少し分からないことがあっても、周りに聞こうとしなかった」
そう指摘された安部だったが、自覚はないのか釈然としないようだ。
「それともうひとつ。安部君って、思っていることが顔に出やすいよね。そのことで学生時代に注意されたり、嫌な事があったりしたんじゃない?」
最初のコメントを投稿しよう!