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第2話 オペレーション・ボッチ発動
社長室の前で肩幅に脚を開き、平がドアと対峙している。息を整えて右手を軽く握ると、指の付け根にできた四つの丘陵を見つめた。平の脳裏に「君のMCPジョイントは実に美しいね」と、わけの分からぬ賛美をくれた、見合い相手の医師の顔がちらついて軽く頭を振った。
平は改めて息を吐き、その美しいMCPジョイントで軽くドアを二度叩いた。
「ノック、ノック」
ドアを叩く音に被せて、平は声を発した。中から少しくぐもった社長の声が返ってくる。
「誰だね? 今忙しいのだが」
「カヌー」
「は? カヌー? 誰だ、カヌーって?」
「キャンユーヘルプミー?」
そう答えながら平がドアを開けると、七代目社長の宮辺光一がアンパンを咥えて、パットの練習をしていた。
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