1、フライドポテトは分け合って

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 次に意識を取り戻し、最初に見えた景色は真っ白な天井だった。  俺は誰かのベッドの上で寝かされていて、服も暖かいパジャマを着ていた。ゆっくり起き上がると、掛け布団の上に濡れたタオルが落ちた。どうやらこれが額の上に乗っかっていたらしい。体調は悪くなかったはずだが。  疑問に思いながら周りを見渡すと、この部屋はベッドとサイドテーブルだけの質素なところだった。  ここはどこなのだろうかと混乱しているとドアが開き、一人の男性が顔を出した。そして俺と目が合うと、ホッとした表情を見せた。 「あ、目が覚めたんですね。よかった。今、姉ちゃん呼んできます」  その男性はテーブルの上に水の入ったボウルを置くと、慌ただしく出ていった。 「姉ちゃん!お客さん、目を覚ましたよ!」  開かれたドアの隙間から様子を見ていると、その男性はドンドンと別の部屋のドアを全力で叩いていた。するとそれが勢いよく開いた。 「うるっさい!ドア壊れる!……で、お客さんがなに」  女性がこちらを向いた。眉間にシワが寄っていて、俺が睨まれたような気分なる。少しビビりながら小さく会釈した。 「ああ。目、覚ましたんだ」  彼女は大きなあくびをしながら部屋に入ってきた。そして少し屈んで視線を合わせてきた。 「うん。顔色も良くなったね。高熱出して、三日間も目を覚まさないから不安だったんだけど……。よかった」  真正面から優しく微笑まれて恥ずかしくなり、目を逸らす。だが彼女の言葉を思い出して、また視線を戻した。 「あの、三日間も寝ていたんですか?その……、誰かがあなたの家に来たりしませんでしたか?」  俺が何日経っても帰ってこないとなると、両親はなんとしてでも見つけ出そうとしているはずだ。この二人にも迷惑をかけたかもしれない。 「誰も来てないよ。スマホが無いから、位置情報も分からないはずだし。……それにしても大変だね、咲也は。二十三歳になっても自由にさせてもらえないなんて。歴史ある旅館の跡継ぎも楽じゃないね」 「え……、何で俺のこと知ってるんですか?」  もしかしてこの人は、あの家の仲間なのだろうか。
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