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ベッドの上に散らばっている下着をかき集めながら、皺の寄ったシーツをぼんやりと見つめる。
真っ黒なシーツの真ん中には大きなシミができていて、ところどころ湿っている。生々しい情事終わりのこの光景も、もはや見慣れたもの。
「なる」
「ん?」
「ごめん、また汚した」
「んなのいつものことじゃん」
ボクサーパンツへ足を通している背中へ口だけの謝罪を述べると、背を向けたままの成はふっ、と鼻を鳴らした。
「愛結みたいに分かりやすいほうが、えろくて男は好きなんじゃん?」
「成も?」
「さあ?一般論」
「ふーん」
「他の男にでも聞いてみろよ」
「そうね、今度会った時聞いてみよ」
「はは、くそビッチ」
「その言葉、成にだけは言われたくない」
「それはお互い様な」
口を動かしながら上下下着を身に着け、視線を上げると、こちらを振り返っていた成は意地の悪い微笑みを口元に浮かべていた。私を見る瞳は冷え切ったまま。
気を張っていなければ、ブラックホールのような底なしの闇に吸い込まれそうになってしまう。
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