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急
高岡憲弘は取り調べでも、自供通り、母親を扼殺したと主張した。
「扼殺の痕が被害者の首には残っていなかった。気道も圧迫されていない。本当にやったのか?」と取調官が訊く。
「やりました。その後、わたしが川へ母親を遺棄しました」
「葛城さん、新情報です!」
葛城が公園のベンチに座ってソフトクリームを食べていると、守谷が走って来た。
「悪いな。守谷の分は買ってないんだ」
守谷は隣に座る。
「どうやら、現職の甘粕町長が教会を取り壊して、テーマパークを建てるようです」
「教会を取り壊すだって?」
「甘粕は東京から移住してきた元官僚で、二年前の町長選挙で新人で当選して、町の改革を標榜していたそうです」
「改革推進派ってやつか」
「甘粕には黒い噂が絶えません。テーマパーク建設でも、大手ゼネコンから賄賂を受け取ってるとか...。官僚時代も金には汚い人物でした。町民としては面白くありません」
「それが今回の事件と、どう繋がるんだ?」
「甘粕の名前に疵をつけるために殺人を行った。あくまでも推測の域を出ませんが、僕はそう考えてます」
「甘粕が町長になった後に、今まで起きなかった殺人が起きた。確かに甘粕には不名誉だな」
「でも、そんなことで殺人なんて大それたことをするでしょうか?」
「町を守るためなら、やる人間が居ても、おかしくはない。だって、町民たちは町を愛しているのがわかる」
「とうの甘粕町長は我関せずといった感じです。とにかく、テーマパークを建設することに躍起になってます」
ソフトクリームの残りが溶けて足元に落ちた。
「もう少し、高岡母子のことを調べる必要があるな」
「あの、僕もソフトクリーム食べていいですか?」
「勝手にしろ」
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