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夕星
ここ最近で1番心に残った本は何か。
2023年本屋大賞受賞作品『汝、星のごとく』著凪良ゆう
僕は、この作品を挙げる。
純愛とは違う複雑で歪な恋愛の物語です。
はじめ、この作品を読んでいる時、登場人物の殆どが嫌いでした。きっとこうすれば良いのにと思うところでその逆、悪い方へ進んでいくのです。
読んでいてすごくモヤモヤしました。
それでも読み終わった時、僕は涙を流していました。そしてもう一度読み直していました。
この本はストーリーや登場人物がすごく魅力的ですがそれと同じくらい文章がとても美しいです。
一部抜粋して紹介します。
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わたしにとって、愛は優しい形をしていない。どうか元気でいて、幸せでいて、わたし以外を愛さないで、わたしを忘れないで。愛と呪いと祈りは似ている。
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最後の一文が僕の心に残りずっと消えませんでした。
愛と呪いと祈り。どれも全然別の意味ですが、誰かを強く思うことであるかなと思います。良い意味でも悪い意味でも。
そして、もう一つこの本で『夕星』という言葉を知りました。古い言葉で金星を意味します。金星といえば一番星、宵の明星とも呼ばれます。明け方になれば明けの明星と呼ばれます。
金星はただそこにあるだけなのに色々な呼び方で呼ばれます。呼び方だけではありません。誰と見るかいつ見るかで、それはロマンティックになり、それは道標になり、それは寂しげであり、それは儚くなる。
それはすごくエモーショナルだなと思いました。僕はこの作品を読んで僕なりに咀嚼して、そして歌を作りました。
『夕星』
YouTubeとニコニコ動画に投稿しています。是非ご視聴ください。以下歌詞。
夕星
Ah君は空を見上げ何を思っているの?
風に揺れる言葉はどこへ向かうのだろう
ねえ、変わり続ける世界で私一人だけが
そこに留まり続けている気がした
暮れる空に灯る導き
あの日見上げた夕星は今も心に
Ah泥まみれの世界で酷く吐き気がするな
愛は祈りで呪いで微かな救い
ねえ、届けたい想いほど深く絡まり合って
羽を広げた蝶の様に飛んでゆく
暮れる空に灯る導き
独り見上げた夕星は儚い夢のよう
誰かはそれを星と呼ぶ
誰かはそれを祈りと呼ぶ
誰かはそれに神を宿す
私はそれを希望と願う
誰かはそれを無謀だと言う
誰かはそれを馬鹿だと笑う
誰に何を言われようとも
私はそれを夢と謳う
明けの空に灯る導き
名前を変えた明星はあの日のままで
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