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娘の真実
あの子は、いい子だった。美人で明るくて、クラスの人気者のはずだった。
誰かをいじめるはずもなく、友達を騙して金を集めるなんて、ありえない話だと思った。
だから、娘の残したスマフォを頼りに
生前の娘の友達から証言を集めてみた。最初は、みな言いにくそうに返信していたが、次第に娘の本性、家で見せたことのない性格が、明らかとなり、娘が原因で転校した女の子に会うことになった。
「いまさら、なんのようですか」
初対面のその子の反応は、嫌悪感剥き出しだった。
「確かに、今更だと思う。死んだ娘の代わりに君に詫びようと思って」
そう言いながら金の入った茶封筒を差し出した。
「ああ、あのクラスの担任や親御さん含め関係者が次々亡くなっているので、慌てて謝罪に来たんですか。もしかして、あの子の次に奥さんもなくなって、次は自分だと?」
「そ、そうだ、これで、怒りを収めて呪いを止めてくれ」
「遅かったですね~。呪いの代償に私は自分の命を使ってしまって、いまさら、こんなものもらっても使えないんですけど」
「命を使った?」
「気づいてないですか、お店の店員さんが、私に注文を聞きに来ないし、お冷も置かないですよね」
確かに待ち合わせに選んだ喫茶店の店員は、ちょっと暇そうにしていたが、彼女がいないみたいに、お冷をもってくる気はなさそうだった。
「じゃ、君は」
「おじさんには、悪いですけと、ネットで、調べていろいろ試して、たまたまうまく行っただけだから、私も止め方知らないから」
「なっ!」
フッと彼女の姿は消えて、暇そうにしていた店員が、こちらを迷惑客のようにみていた。
一人でブツブツ言っていたのだろうか。慌ててレシートをつかんで、会計をして店を出た。
彼女に再び会おうとしたが、連絡はつかず、私はその呪いで死んだ。
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