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ああ、どうしよう。
高校生の時のように、普通に話しても良いのだろうか。
私の気持ちが伝わってか
「今はプライベートだから。楽に話していいよ。俺も昔みたいに話すから」
フッと彼が微笑んでくれて、心がスッと楽になった。
「海斗、ごめんね。もう怒ってない?」
私が名前を呼んだ瞬間、部長の瞳が大きくなった気がした。
「怒ってなんかいないよ。俺の方こそ、酷いことをしてごめん」
彼は深く頭を下げてくれた。
「良かった」
安心した。
「海斗のお父さんは元気?」
「ああ、元気だよ。くるみが急に家に来なくなったから、当時はすごく心配してたけど」
「そうなんだ」
海斗の家に遊びに行った時、とても良くしてくれた記憶が残っている。
そう、それは十数年前、私たちがはじめて出逢った時のことだった――。
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