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そんなんじゃない。私が青くんに何かを望むなんて傲慢すぎる。願うだけでいい。青くんのことを考えて、悩んで、ただ幸せを願えばいい。
「私は特別にはなれないから…」
気が萎んだ私を見て何を思ったのか、「ユナが特別なのは当たり前よ」と彼女は口を更に歪ませた。
「ユナはね、生まれつきこんなに美人」
何が始まるのだろうか。取り敢えずうんうん、と肯定しておく。
「親も超優しいしお金もある。欲しい物はなーんでも手に入る。綺麗でいるために妥協しないし」とサラサラの髪を靡かせた。
「男も女も皆ユナに憧れるの。そうなる努力してるから。だから特別なのは当然」
「…なるほど」
「でも…」と彼女の声が自信なさげに小さくなる。
「サクに会って初めて、手に入らないものもあるって知ったの」
「…」
「このユナが、何度もフラれてるなんて信じられる?」
「…えっ!」
驚きのあまり思ったより声が大きくなってしまった。
「仕返ししたいなら噂流せば?」
「…いえ、そんな事は」
しません、と言い終える前に「友達だから無理なんだって」と彼女がため息をつく。
ちく、と芽生えたのは嫉妬心。
青くんの友達になれるなんて、羨ましくて仕方がない。
「…一緒じゃん、ユナ達」
それはどういう意味だろうかと彼女を見れば、彼女も同じように私を見つめた。
「あんたは嫌われてるって言うけど、名前で呼ばれてる」
「えっと、」
「それに、あんたは名前呼べるんでしょ?…『青』って」
「…」
「…一緒じゃん」
ユナちゃんの口元に切ない笑み。その表情もとびっきり綺麗だった。
「どっちも、サクの特別じゃん」
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