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ユナちゃんと一誠さんと私。どんな食卓になるのかと思いきや普通に会話が弾んだ。さすが一軍女子。コミュ力高い。
「弁護士さんってすごいですね!この間ドラマどハマりして、」
「現実はあんなではありませんがね」
「そっか〜。え、これめちゃうま」
「菜乃花さんは料理が得意なんです」
なぜか得意顔の一誠さんに苦笑いをすれば、彼は私を一瞥し肝を冷やす質問を投げかけた。
「ところで、菜乃花さんは学校ではどんな様子ですか」
「一誠さん!」
ユナちゃんになんて事を聞くんだ。
「あー、正直ちょっと浮いてますけど、明日からはユナに任せて下さい!」
ニコニコのユナちゃんは、どうやら顔のいい一誠さんを前に張り切っているようだ。
「彼女いないんですか〜?」なんて好奇心も出てきて、変な方向に話が進まないことだけを祈った。
「いません」
「っていうか、もしかしてロリコンですか?」
思った事をそのまま口に出すのは瀬戸くんだけじゃないらしい。一誠さんの口元が引き攣っている。
「…どうしてその様な考えに至ったかお聞きしても?」
「だって、イケメン弁護士30歳独身って。何か問題あるのかな〜って」
それに、とユナちゃんから視線。
「植草…菜乃花さんの保護者してるし」
「ちゃんと法に則っていますよ。私自身、若い女性を引き取るリスクやデメリットを熟慮した上で、彼女を選んだので」
「へぇ〜、なんか話だけ聞くと結婚みたい」
「責任を取る、という意味では似たものですね」
何食わぬ顔で食事を続ける一誠さんを、ユナちゃんは「いいなぁ」と眺めていた。
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