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どうにか説明を求めなきゃと思うのに青くんはなかなか1人にならない。いつだって人に囲まれている。放課後まで待つか、と諦めた私に「菜乃花!」と大声で呼んだのは昨日ぶりのユナちゃん。
「もう、菜乃花!!」
昨日の今日で急に親しげなユナちゃんに、みんな目が点になっている。それもそのはず。いつもなら一目散に「サク〜」と青くんに近寄っていたのに、今日は彼をスルーで私の所に来たんだから。
「ユナちゃん…こんにちは」
「菜乃花のばか!!」
「えっ?」
急な罵りに驚いて、昨日のは全部夢だったかな、いや、でも名前呼ばれてるしと、思考をフル回転させていれば、目の端に同じく驚いた青くん達が映った。
「昨日家帰ってびっくりしたんだけど!!」
「な、にが…」
「スッピンって忘れてた!一誠さんにあんな顔晒してたの?死にたい」
両手で顔を覆うユナちゃんが「気付いてたなら言ってよ!」なんて言うけれど、彼女は化粧をしてなくても美人だから、そこまで考えが至らなかった。
「あんなイケメンと暮らしてる菜乃花は一々気にしないかもだけど、ユナはもっと綺麗な姿見せたかったのに!」
「ご、ごめんなさい」
「ちゃんと一誠さんに言っといてよ?いつももっと可愛いって」
「…もちろん」
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