甲子園

4/11
前へ
/33ページ
次へ
 「なんや?」  彼だ。  絶対、亮平だ。  頭の中で反芻した。  自分に言い聞かせるように、何度も何度も。  あり得るわけない。  彼な…わけが…  「…誰?」  「は?」  亮平だけど、亮平じゃない。  そんなバカなことがあるわけない。  だって、あんたは今ベットにいて、これから手術があるって…  「わざわざ来てやったっちゅーのに、なんやその言い草は」  …えっと  冗談抜きでやばい  何がやばいって、「全部」が。    夢にしては意識がはっきりしてた。  不思議と、そうじゃないって思えた。  …けど、だとしたら尚更おかしい。  …幻覚でも見てる?  変なものでも食べたっけ…?  …いやいやいや  「ってか、なんやその格好は」  …格好?  見ると、パーカーを羽織っている自分がいた。  それと、ダボダボのスエット。  嘘…でしょ…?  …いつのまに?  さっきまで自分が着ていた服。  パーカーなんて着てなかった。  スエットもだ。  まだ暑さが残ってる時期だってのに、なんでこんな厚手を…?  …いや、問題はそこじゃなくて!
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加