2人が本棚に入れています
本棚に追加
「マネージャーならちゃんとせぇや」
「…はい?」
マネージャー…?
…一体、何言って…
彼はユニフォームを着ていた。
胸には、「須磨浦高校」の文字。
そのユニフォームのことは知っていた。
いつも目にしてた。
私が通ってた高校のユニフォームだったから。
「はよ着替えてこいや」
「…ちょ、ちょっと待って」
着替えるったって、何に…?
混乱する頭のそばで、早くしろって催促してくる。
私は動けなかった。
どうしていいかもわからなかった。
…だって、こんなの…
「…何かあったか?」
…何か?
彼は、不思議そうにこっちを見てくる。
何かって言われても、…えっと
頭が回らない。
彼が、なぜか身近に思えた。
でも、そんなわけないって思えた。
もう、あれから2年も経つ。
病院のベットに横たわっている彼は、昔の面影なんて残っていなかった。
会えば、「彼」だってわかるよ?
…でも、何て言うんだろう
会うたびに感じてたんだ。
会うたびに、離れていく気持ちがあった。
彼に会えなくなったのは、怖かったからだ。
彼がいなくなるって、信じたくなかった。
いっそそのままにしておきたかった。
昔のまま、——彼のままで。
最初のコメントを投稿しよう!