甲子園

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 ◇◇◇  「頭でも打ったんかお前」  「打ってない」  「ほんなら、なんでさっきまでのやり取りを覚えとらんのや」  「…知らない」  大通りを抜けて、海岸線沿いの道を走ってた。  須磨浦高校へと続く道と、白い砂浜と。  自転車の後ろに乗って、沈んでいく夕陽を眺めてた。  彼が言うには、どうやらラインをしていたらしい。  今月から野球部のマネージャーやるってことで、久しぶりにキャッチボールをしようって、私から。  「ってか、さっきの話は何?」    「…さっきって?」  「手術がどうのって」  「…ああ」  さっきからずっと、頭は回らなかった。  整理しようとすればするほど、わけがわかんなくなって。  「とりあえず、マック寄っていい?」  「…え、ああ、うん」  須磨駅前の駐輪場で自転車を停め、海沿いにあるマックに入った。  昼はパンしか食べてないっぽかった。    「お前はなんか食う?」  「いや、いい」  「ほんなら、フィレオフィッシュ一つと、チキンナゲット単品で」  フィレオフィッシュ…?  なんでそんなマニアックな…  「お前知らんやろ。フィレオフィッシュのうまさを」  「知らんけど」  「このソースといい、塩加減といい…、コスパ的にも最強やしな」    
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